景況調査
【2024年12月分】前年同月比の景気動向
増加・好転 不変 減少・悪化
業種 | 売上高 | 収益状況 | 資金繰り | 業界景況 | |
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製造業 | 食料品 | ||||
繊維工業 | |||||
木材・木製品 | |||||
印刷 | |||||
化学・ゴム | |||||
窯業・土石製品 | |||||
鉄鋼・金属 | |||||
その他 | |||||
非製造業 | 卸売業 | ||||
小売業 | |||||
商店街 | |||||
サービス業 | |||||
建設業 | |||||
運輸業 | |||||
DI値 | -15.0 | -35.0 | -17.5 | -37.5 |
(情報連絡員40名のうち回答数40名 回答率100%)
製造業
食料品
12月の売上高は前年並みとなったが、稼働率は12月半ばから鈍化した。1月以降は原料在庫の不足感が高まる。(食料品製造業)
繊維工業
受注件数、数量ともに昨年度より減少している。景気が上向いておらず、業況は好転していない。制服を取り扱う企業では少子化が原因で減収しているという声も聞こえる。繊維業界の状況はかなり悪く、今後好転する可能性は低い。(繊維工業)
12月の売上は、前年同月とほぼ同じであった。昨年より続く原料費や光熱費、人件費などの製造経費増加により市場に浸透してきたのか年末に向けての注文が昨年並みに推移している。しかし、先行きが見えない状況が続いており、注文の入った商品だけの製造に留まり設備操業率は低下したままである。(繊維工業)
木材・木製品
プレカット工場では加工能力を下回る状況が続いているが、見方を変えれば働き方改革の一端のように、残業なしの働き方を実現している。令和5年の住宅着工戸数が85万戸、6年には80万戸と大きく減少した。当然ながら、戸建て住宅は減少し、プレカット業界にとっては前年と同じく盛り上がりに欠けた1年だった。今後プレカット業を含めた木材業界が生き残っていくためには、需要者に対する材・工一貫の提供と提案・企画力の向上が必要になる。単一の業態では事業継続は苦しくなると予想される。その課題としては、民間非住宅建築物への木材化の提案と営業努力が必要である。1事業体で出来ないことは連携して取り組むことが求められるが、公共建築物に関しては建築会社が大きな競争相手となる。そうすれば、森林環境税の使い道として、市町村から民間非住宅建築への木造化補助を出し、木のある街、木の見える街、LCAに取り組む街づくりなど、積極的な行政への提言と取組が必要となる。(木材・木製品製造業(家具を除く))
7月から続く長期にわたる低迷状態について、工務店関係の操業度が大きく関わっている。また人手不足及び原材料価格の高騰により予定していた着工建設は中止の方向であり、建売住宅に関しては建具を取付ける設計から、より少なくという傾向がみられる。このような状況下でますます当業界に対する風向きは厳しいと思える。(家具・装備品製造業)
製造業の受注量は少し増加し、プレカットの生産加工量は増加している。また県内の原木市の単価は横ばいである。(家具・装備品製造業)
ホテルや商業施設など万博向け工事が盛んに動いており、人手不足となっている。各工場もおおむね手一杯となり需要がオーバーしている状況である。同時に近年、中間業者の能力不足が目立ってきており、図面がまともに描けていない事に加え、工場への発注が遅いので製作期間が無くなっている。現に発注図面が来ても間違い探しから始めるのが常となっている。逆に検査やコンプライアンス順守が非常に厳しくなる中、工場側の負担が増加し、生産コストも上がっている。仕方なく毎回何とか納めているので、改善されていない。大手元受けからの直接受注等、今後中間業者に頼らない形態に切り替える必要があると考えている。(家具・装備品製造業)
化学・ゴム
最近になって「所得税の103万円の壁」に加えて「社会保険料の106万円の壁」の話が出てきているが、この壁がなくなると企業にとって負担増を意味するので注視している。(化学工業)
窯業・土石製品
令和7年4月から主原料にあたるセメントの値上げが表明されている。コンクリートの出荷量は前年比微減が続いている。社会情勢の変化により出荷量が増加する材料は乏しい。今後も厳しい状況が続くことは確実である。(セメント・同製品製造業)
鉄鋼・金属
売上高が前年同月比で約20%増加したが、先行きの見通しはまだ不明瞭である。(金属製品製造業)
全体的に売上は増加している企業が増えてきているが、材料価格の高騰により収益には、まだ反映されていない。また人員不足の解消には至っていない。(金属製品製造業)
その他の製造業
商品の動きが前年同月より悪かった。相変わらず紳士用の革の動きが鈍く、先月まで婦人用バッグはやや動きはあったが、それもかなり悪くなってきている。(なめし皮・同製品・毛皮製造業)
現年の対前年同月比売上高は年末に向けて増加している。(その他の製造業)
非製造業
卸売業
和歌山県内における当組合の業況は、変化はなく昨年並みの水準である。昨年は、建築材料の供給に問題があったが、今年については、供給面では特に大きな問題にはなっていない。また県下の民間事業者からの照明、空調等の省エネ機器への更新の問い合わせは増えているが、受注には結びついていない状態である。年々、年末の慌ただしさは無くなっているが、今年についても同様で年賀状を出すのをやめた企業も増えており、当社も御客様へ来年の年賀状を出さない旨の案内を行った。(機械器具卸売業)
小売業
本年度の食肉業界は、豚熱の発生が続いたほか高病原性鳥インフルエンザは過去最多ペースに近い発生となり、国内初となるランピースキン病の発生も確認され、疾病から逃れられない年であった。一方で、続く食料品や光熱費の値上げにより、食肉加工品も1月と10月に値上げが行われた。また、消費者の生活防衛意識は強まっており、実質賃金上昇率は物価上昇率に追いついていない。これらのことにより和牛の消費が落ち込み、和牛相場も低迷した。(飲食料品小売業)
本年度は、年間を通じて価格が上昇しなかった。年末には、政府の経済対策による原油価格激変緩和対策事業の補助金減額が始まり、県内では、多くのSSが値上げに踏み切った。しかしながら業界からすれば、今の価格帯では、収益を得られない。1月には、第2弾の補助金減額が予定されており、来年こそは市況の改善を期待している。(その他の小売業)
政治は不安定で世界は揺れ動いているが、世情的には比較的穏やかな年末となり、通常の営業ができたと感じている。商品の価格だけではなく、内外の時計メーカーの修理サービス料金は上がり続けており、消費者の感覚と乖離している部分も見受けられる。(その他の小売業)
商店街
物価高に対応すべく賃上げの上昇圧力があり、収益の悪化を懸念している。売上の上昇が物価と連動すればよいが、飲食サービス店においては販売価格の上昇がみられる一方で、物販店においては実現できていない。(複合業種(和歌山市))
年末商戦が極端に落ち込んできている。商店数の減少に加えて肉屋と総菜屋がないことがかなりこたえてきている。(複合業種(和歌山市))
サービス業
和歌山県のLPガス料金支援値引きの実施があり、1月も継続予定である。(ガス業)
12月の売上は各施設それぞれで、対前年比35%~240%の状況だった。数字の良い施設については、観光客の増加や学生合宿の再開が影響しているようである。一方で良くない施設については、和歌山駅前のビジネスホテルの開業が影響を与えているようである。(宿泊業)
12月の対前年同月比の宿泊人員は97.5%、総売上高105.8%、1人当り消費単価108.1%、総宿泊料金93.6%、1人当宿泊単価95.7%だった。2024年1月から12月の宿泊人員は952,529人で、前年同期間(2023年1月から12月)と比べると7,708人の減少である。(白浜温泉旅館協同組合)
12月の売上及び客数は、一部の業種を除き、前年と変わりが無い店舗が多い。また、コロナ禍以前まで回復しておらず、営業の日数を減らしている店舗も多く見られる。特に居酒屋、焼き肉屋等は売上げが横ばいで有名な店は増収となっている。しかしながら、企業による接待の利用はまだまだ少なく、個人数人による忘年会等が主流となっている。またランチタイムは賑わっているが、夜はスナック、クラブ等の売上は回復せず、より厳しい状況が続いている。温泉・観光地の飲食店やホテルは夏休み客やインバウンドによる外国人等により賑わっているが、その影響は一部であり、その他の地域の店舗では、売上等が横ばいである。一方で、原材料費の高騰が続き、従業員の人手不足と10月からの最低賃金の改定により賃金が上昇し、収益は増えていない。新規創業資金および既存店の設備投資等の借入が減少している。既存店は設備投資がなく、運転資金の貸し付け希望がほとんどである。またコロナ特別融資の元金返済にも苦慮しており、廃業する業者も増加している。(飲食店)
年明けよりガソリン価格が上がるとの情報により整備業界は自動車の売買や整備があってこその業界のため、ユーザーの購買意欲が減り売り上げが落ちていくことが考えられるため不安視している。(自動車整備業)
塗料価格や材料費の価格高騰が続いており、厳しい状況である。(自動車車体整備業)
建設業
令和6年12月の県工事受注額は前年同月の約7割であった。今年度12月期までの累計は前年同月期累計の82.53%となっている。(総合工事業)
公共工事の受注高は引き続き減少傾向である。年度末に向けて補正予算での発注が待たれる。相変わらず現場作業員等の人員不足が続いている。(総合工事業)
年末にかけての追い込むような工事は全体的に乏しく、逆に言えば大阪方面に工事を求めて行っているのが現状である。官公庁関係の工事受注も限りがあり、また小規模建築工事業者の工事受注も乏しい状況である。和歌山市周りの工事がかなりの浮き沈みがある。(職別工事業(設備工事業を除く))
経済産業省と上部団体の共同で「電気工事業者の施工力」の実態調査をすることとなった。これは、業界が直面する少子高齢化や事業継承問題・労働人口の減少による人材不足など喫緊の課題に対する現状を取りまとめ、国として実効性の高い政策やより良い支援へと繋げていくためのものである。この問題は電気工事業界だけでなく建設業界全般、ひいては日本の未来にも直結する重要事案であることは間違いないと考えている。(設備工事業)
運輸業
国による燃料油補助金が段階的に圧縮される。第一弾として12月19日に5円/ℓ減額となった。軽油価格としては約4円/ℓも値上げとなり、経営に大きな影響が出ることは必至である。一般市民のガソリンも同様の値上げとなり、値上げ前にはGSに長い行列が出来ていた。さらに、1月16日以降5円/ℓ補助が減るために同様に軽油の価格も上昇する。1月の輸送量の少ない時期に燃料費が上がるとたちまち資金繰りに影響し、持ちこたえられない業者が現れてくることが懸念される。(道路貨物運送業)
有田地域では、温州ミカンの出荷の最盛期をむかえ、果物輸送関連の組合員の業況は例年どおり活気のある年末となっている。軽油価格は、年末の需要の多いこの時期に国の補助金が減額しその分高値で推移している。(道路貨物運送業)